奨学金返済難民のための基礎知識

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奨学金問題 免除について その1

日本の奨学金がいま、問題になっている。

 

日本学生支援機構(以下、支援機構)の調査によると、奨学金を延滞している人の約20%が失業中・休職中だ。収入が無ければ返済は当然困難になる。

では、働いている人は延滞していないかというと、そうではない。実は、延滞をしている人の約27%は非正規やパート・アルバイトで働いている。正社員の割合に至って延滞者の約35%だ。

 

収入があったとしても奨学金の返済は重くのしかかってくる。延滞はどんな人にも訪れる可能性があるのだ。

 

青の表は支援機構のHPより

http://www.jasso.go.jp/statistics/zokusei_chosa/23_chosa.html

 

表2-1 本人の職業

                                                          (単位:人・%)

区分延滞者無延滞者
人数 割合 人数 割合
常勤社(職)員 (※1

1,410

34.5 639 57.5

常勤社(職)員(雇用期限がある)

256 6.3 61 5.5
非常勤社(職)員 (※2 542 13.3 85 7.7

派遣社員 (※3

306 7.5 33 3.0
自営/家業 211 5.2 24 2.2
学生(留学)を含む 48 1.2 90 8.1
専業主婦(夫) 328 8.0 82 7.4

無職・失業中/休職中 (※4

774 18.9 71 6.4
その他 212 5.2 26 2.3
4,087 100.0 1,111 100.0

 

※1.平成22年度の区分は、「正社員・正職員」

※2.平成22年度の区分は、「パート・アルバイト」

※3.平成22年度の区分は、「派遣・臨時職員」

※4.平成22年度の区分は、「無職・失業中」と「休職中」は別区分

 

 

このブログを見に来てくれた人の中には、いままさしく奨学金を返済している人がいるかもしれない。その中には奨学金の返済が重く、日々悩んでいる人もいるだろう。そうした人が返済の負担を減らすためにはどうしたら良いだろうか。何も手だては無いのだろうか。

 

いや、そんなことはない。限られた方法であるが、手だてはある。奨学金や返済の相談団体に関する正しい知識を身につけよう。そうすれば万が一訴訟を起こされても、将来を見据えて冷静な対応が出来るのだ。

 

今回の記事では免除制度を取り上げる。

 

結論から言うと、そう簡単には使えない制度だ。この制度が使えるのは、返済だけではなく生活そのものが困難な場合だけである。要件を満たさない人が多いと思うが、こんな制度もあったのかと読んでもらえると嬉しい。

 

 

支援機構の奨学金は、次の場合、奨学金返済を免除している。

⑴死亡による免除

⑵精神もしくは身体の障害による免除

⑶特に優れた業績による返還免除

以上の三つだ。

 

返還免除のページへのリンクを貼っておく

http://www.jasso.go.jp/menjyo/index.html

 

【免除の申請はどうやってやればいいの?】

 

まず、「⑴死亡による免除」の場合だ。

次の書類を提出すれば、免除の審査がされる。

ア.奨学金返還免除願

イ.本人死亡の事実を記載した戸籍抄本、個人事項証明書又は住民票等の公的証明書

 

このケースは本人が死亡した場合の手続きであるので、裏返えして言うと、保証人や相続人が書類を提出しない限り免除はされない。

 

ところで、ア.「奨学金返還免除願」の用紙は支援機構へ請求しなければ手に入らない。他の申請書や願書はホームページ上か「返還のてびき」という冊子から手に入れる事が可能だが、免除願の場合は請求しなければ手に入らないようになっている

 

読者の中で⑴死亡による免除に該当する人がいたらすぐに支援機構へ連絡する事を勧める。

 

返還免除に関する連絡先 

市谷事務所  〒162-8412 東京都新宿区市谷本村町10-7

独立行政法人日本学生支援機構 奨学金事業部 返還免除課 

 電話 03-6743-6045 

 

奨学金の返済に苦しむ人の中には、「死ねば保証人や親に迷惑がかからないのか」と一度は頭によぎった人もいるかもしれない。早まってはいけない。そこまで追いつめられた生活をしているなら相談機関へ連絡することを勧める。

 

無料の法律相談で弁護士に相談するのもよい。力になってくれるはずだ。

 

奨学金問題に取り組む団体の連絡先を記しておく。

・奨学金問題対策全国会議:https://www.facebook.com/syougakukin

NPO法POSSEhttp://www.npoposse.jp/syogakukin/soudan.html

 

ちなみに、個人事項証明書と戸籍抄本はほぼ同じモノだ。紙のものを戸籍抄本といい、電子の戸籍抄本を個人事項証明書と呼ぶ。初めて聞く名前で驚くかもしれないが、大した事は無い。データが紙か電子かの違いだけである。

 

(その2に続く)